McKinsey & Companyの最近の調査で、75%の消費者が新しいショッピング方法を試し、アフターコロナでも継続するつもりだと回答していることをご存知でしょうか?
それだけでなく、新たにデジタルショッピングを試したと回答した人の80%が、将来もその方法を使い続けたいという確信をもっているのです。
出典 : McKinsey
今日のデジタルファーストの世界において、ブランドにとって最大の課題の1つが、顧客の粘着性を確保するための顧客エンゲージメント戦略の模索です。ある調査では、マーケティング担当者の90%が、パンデミックの際にデジタルエンゲージメント戦略が変化したことに同意し、デジタル機能の革新と強化にプレッシャーを感じています。
みなさんはアフターコロナのデジタル環境において、顧客の関心とロイヤリティを確保するための十分な施策を実施できていますでしょうか。
この記事では、現代の消費者ニーズの変化に対応するために、顧客エンゲージメント戦略にどのような進化が必要かを解説します。
顧客エンゲージメント戦略に欠かせないターゲット理解
消費者トレンドの最新データを見ると、消費者市場は特定のカテゴリーに分類され、それぞれ買い物の好みが異なることに気づかされます。
ベビーブーマー世代はあまり消費しないため、主要なターゲットではありません。一方、Z世代とミレニアル世代は消費者トレンドにおける最大のトレンドセッターです。
ロイヤリティの高い顧客と持続的な関係を築きたいのであれば、Z世代は最も強力なターゲットとなります。
それは、この貴重な消費者層が成人期を迎え、間もなく市場で最大の購買力と影響力を持つようになるからです。彼らの買い物の好みは、市場全体のトレンドを左右することになります。
米国だけでも、このグループの購買力は年間440億ドル(5.9兆円 ※2022年7月時為替レート)以上であり、今後も増加すると予想されています。
出典 : Oberlo
ターゲット層が明確になったところで、この層の嗜好に基づいて顧客エンゲージメント戦略を変更する必要があります。では、彼らは何を好むのでしょうか?
Z世代の消費行動と好み
シスコ社によると、2022年までに世界のインターネット・トラフィックの82%を動画が占め、特にライブ動画は15倍に成長し、同時期のインターネット上の動画トラフィックの17%を占めるようになるといわれています。
動画コンテンツの半分がモバイル機器で視聴されていることから、Z世代の消費者を惹きつける鍵は、モバイルに最適化された動画コンテンツにあることは明らかです。この新世代の顧客は、彼らの生活に付加価値を与えてくれるようなショッピング体験、動画を駆使した非常に魅力的で楽しいショッピング体験を求めているのです。
現代の購買層に求められる顧客エンゲージメント戦略
近年、ショート動画の台頭により、人々のコンテンツ制作・消費方法が変化しています。デジタルファーストなブランドの多くが、消費者を楽しませ、ダイナミックなショッピング体験を提供できるショート動画に注目しています。
84%の人がブランドの動画を見て商品を買う気になったと報告していることを考えると、各ブランドにとって、動画優先の「ショッパーテイメント戦略」(オンラインショッピングにおける顧客体験にエンターテイメント要素を取り入れ、顧客との結びつきを高めつつ、売上を向上させる戦略)をブランドマーケティングの中心に据えることは理にかなっていると言えます。しかし、動画コマースのトレンドは、より没入感のあるライブコマースの台頭によって、さらに一歩進んだものとなっています。
2022年の市場規模が4230億ドルに上る推定される中国でのライブコマースの大成功に触発され、世界中のブランドがEコマース戦略においてこのトレンドを取り入れています。2020年の調査では、中国の消費者の3分の2がライブ配信経由で商品を購入したと回答していることを考えると、これは賢明な戦略であると言えるでしょう。
出典:eMarketer
Eコマースの未来は、現代の消費者にとって従来のショッピング体験を一変させるオムニチャネルでのライブコマース戦略にあります。ナイキのような大手ブランドは、顧客に「フィジタル」体験(フィジカルとデジタルの密接な融合による新たな生活体験)を提供するために、ライブ動画を駆使した小売店舗を実験的に導入しています。ナイキのオンライン売上が2021年第4四半期に50%急増したのは、当然のことでしょう。
Z世代とミレニアル世代の需要は、より人間的で、カスタマイズされたショッピング体験であり、ライブ配信は彼らが望むものを提供するための理想的なデジタルツールなのです。
なぜライブコマースが顧客エンゲージメント戦略に組み込まれるのか?
これまで、マーケティング担当者にとっての最大の課題は、インスピレーションと購買の間にある大きなギャップでした。看板で商品の広告を見て気になっても、店舗に行く頃にはすっかり忘れているものだからです。
Eコマースにおけるライブ配信は、このギャップを無くし、顧客が即座に満足できるようにしたのです。アリアナ・グランデの曲にある「I see it, I want it, I like it, I got it,(見て、欲して、好んで、買った」という歌詞は、現代の消費者がライブコマース体験で得られる感覚を完璧に言い表しています。
Z世代とミレニアル世代が外出先で最も使用するデバイスはスマートフォンです。モバイル・ショッピングの人気は、モバイルコマースという新しい言葉の誕生にさえつながっています。2024年には、モバイルコマースはEコマース市場の42.9%を占めると予想されています。そのため、顧客エンゲージメント戦略には、ショッピング動画、スワイプして楽しめる短いウェブストーリー、ライブ配信など、すべてモバイル体験に最適化されたものが必要です。
ライブ配信は、コンテンツの消費、購入、決済をシームレスに統合し、モバイルファーストの最適な体験を提供します。ライブコマースは摩擦のないデジタル環境を創りだし、インスピレーションから購入に至るまで、スマートフォンから目が離れることなくスムーズな顧客の購買行動を実現します。
ライブコマースで収集されるデータ活用が、顧客エンゲージメント戦略に与える影響とは?
今日のデジタル環境におけるもうひとつの大きなトレンドは、ウェブブラウザのクッキーの段階的な廃止です。各ブランドは、消費者行動に関するセカンドパーティデータについて、ソーシャルメディアに頼らざるを得ません。しかしそのデータはクッキーがない場合、必ずしも正確な情報源とは言えません。
顧客データはブランドのパフォーマンスを追跡し、消費者に適したマーケティング戦略を特定、消費者のブランド嗜好に関して本質的な洞察をするために極めて重要です。過去1年間の調査では、マーケティング担当者の88%が「ファーストパーティデータの収集が優先事項である」と回答しています。
幸いなことに、ライブコマースソリューションを統合することで、正確なファーストパーティデータを自社で収集することができます。ライブコマースは、コンテンツとコマースを統合して消費者に非常に楽しいショッピング体験を構築することで、視聴者をブランドのウェブサイトに引き寄せ、注意を引くことができます。そして、各ビデオの視聴時間、顧客のホットスポット、ライブ動画へのコメント+リアクションなど、顧客に関する貴重なファーストパーティデータを収集できます。
そのため、消費者はサイトを訪れるだけでなく、楽しくてライブ感のあるショート動画を視聴し、最終的にはブランドのウェブサイトに滞在したまま購入に至るのです。このような貴重な顧客データにアクセスすることで、将来的にクッキーが完全に廃止されても、常に貴社の顧客エンゲージメント戦略を修正し、持続可能な戦略を立てることができるのです。
まとめ
今は、ブランドにとって、生き延びるか撤退してしまうかの重要な時期です。もし貴社の顧客エンゲージメント戦略に縦型のライブコマースを採用していないなら、私たちがすでに直面しているビデオファーストの未来に取り残されてしまうでしょう。
Eコマース分野の競合として、企業は消費者に対し、楽しく魅力的で価値のあるショッピング体験を提供する必要があります。没入感のあるデジタル環境下でショートライブ動画を活用することで、現代の消費者に対応できるのです。すべてのデジタルチャネルに普遍的に対応し、より人間的で付加価値のあるコンテンツを提供することで、貴社のブランド価値を高めるような確固たる顧客エンゲージメント戦略を手に入れることができるのです。