ライブコマース

ライブコマースを活用したブランドの成功事例10選

ライブコマースは、各ブランドが自社の製品やサービスを紹介することでリアルタイムに視聴者と関わり、シームレスな購入を促進するオンラインショッピング体験です。世界規模で導入が進むライブコマースについて、その成功事例を紹介します。

ライター:Sukanya Shettigar(スカンヤ・シェティガー)

2020年、アリババは中国で人気なショッピングイベントの先行販売キャンペーンを、ライブ配信で実施しました。その結果、ライブ配信上のユーザーのショッピング体験時間はわずか30分にもかかわらず、取引総額が75億ドル(約1兆円※)にも達したのです。

エンゲージメントと成約はEコマース事業者が直面する大きな課題であるため、この結果は大きなブレイクスルーとなりました。各ブランドは常に既存企業や新規参入企業と競争しているため、顧客を維持するために関心を集めなければなりません。ライブコマースは、各ブランドが人と人とのつながりを築き、ビジネスを成長させるための手法となります。

中国と米国での調査によると、ライブコマースは、間もなくEコマースの総売上にて26%のシェアを占めるようになると言われています。中国では、実に67%の購入がライブ配信のイベントから行われています。

ライブコマースは、利便性と接続性の中間に位置しています。ライブ配信は、製品やサービスのデモンストレーションを見ることと、リアルタイムで同じものを購入したいという顧客の欲求を満たすこととを融合しているのです。

 

ライブコマースとは?

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ライブコマースは、各ブランドが自社の製品やサービスを紹介することでリアルタイムに視聴者と関わり、シームレスな購入を促進するオンラインショッピング体験です。発見から検討、購入まで、購買行動のさまざまなタッチポイントで顧客をサポートします。

ライブコマースは、1対1または1対多数で設計できます。顧客とブランドの担当者を結びつけ、そのブランドのEコマースストアに、よりリアルな交流や店舗購入の疑似体験をもたらします。また、各ブランドはインフルエンサーやクリエイターを起用して、ライブ配信による魅力的なショッピングセッションを作ることができます。そのセッションでは、エンゲージメントやセッション時間などの指標を高めることができるのです。

ライブ配信によるショッピングセッション中の商品購入プロセスは、とても簡単です。ライブ配信技術により、視聴者は購入CTA(コール トゥ アクション)をクリックし、支払い方法を選択して注文できます。もう一つの利点は、自社の顧客データ収集を制限しないことです。ライブコマースでは、企業はセッションデータを完全に管理し、視聴者のためにショッピング体験を創造し、カスタマイズできます。

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ライブコマースを活用するブランド、10の事例

どのブランドがライブコマースで飛躍的な成果をあげているのでしょうか?

世界有数のブランドの多くが、DXを推進するために、さまざまなケースでライブ配信によるショッピング体験を活用し始めています。そのいくつかを見てみましょう。

 

Fresh Market 

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フレッシュマーケットは、ライブ配信機能を活用して、グルメな店舗体験をデジタル領域で再現しています。2022年初めには、改装したばかりの直営店から初のライブ配信イベントを開催しました。この動きにより、買い物客のエンゲージメントが大幅に向上しました。ライブ配信技術は、リアルな繋がりを深めることができるので、同ブランドに新しい顧客を呼び込み、売上を向上させました。

 

Albertsons

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Albertsonsは、ライブコマースを利用した米国における最初の食料品店の1つです。同ブランドでは、短い動画を作成し、ライブ配信を主催し、それらを構築し直して、顧客とつながりをつくったのです。同ブランドは、ライブコマースとショッピングビデオを通じて、食品関連コンテンツの先駆者となることを目指しています。ライブコマースをウェブサイトとモバイルアプリに活用することで、店頭での購入体験(顧客が食材を見て選び、店員にアドバイスを求め、取引を完了する体験)を再現しようとしています。

 

Aldo

Aldo

出典 Retail Insider

アルドは近年、TikTokのインフルエンサーであるネイト・ワイアットとセレブスタイリストのミミ・カットレルとの共同主催で、初のライブコマースセッションを開催しました。各ブランドはリアルタイムでコレクションを紹介し、視聴者はお気に入りのインフルエンサーが独自の方法でブランドを宣伝する様子を見ることができました。その結果、平均視聴時間は12分、エンゲージメント率は300%以上という驚異的な結果を残しました。

 

Nordstrom

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提供元 Drip

Nordstrom社は、ライブコマースにて大きな賭けに出ている米国のブランドです。同社は近年、ライブコマースチャンネルを立ち上げました。このチャンネルでは、さまざまな機会に特定のテーマでライブコマースイベントを開催し、視聴者による双方向な体験を提供しています。

 

CAIA

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出典 Drip

CAIAは、2019年にライブコマースに進出したスウェーデンの化粧品ブランドです。初めてのライブ配信では、5%の成約率を記録しました。その成約率は、ブランドの平均的なウェブサイトの成約率よりも明らかに高いものです。それ以来、同ブランドは、後退することなく視聴者の心に響くライブコマース体験をデザインし続けています。

 

Purple Panchi

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Purple Panchiは、インドを拠点とする高級民族衣装ブランドです。近年、ライブ配信メディアとショッピングビデオの手法をマーケティングとプロモーション活動に取り入れました。その後、同ブランドのクリックスルー率が18%上昇しました。

 

Kiehl's

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出典 Todayonline

Kiehl’s、スキンケアとヘアケアのブランドです。同社は先日、マレーシアでライブ配信イベントを開催しました。このライブ配信は、イスラム断食月キャンペーン中の集客を狙ったものでした。その結果、広告費とイベント開催費の8倍のリターンを得ることができたのです。

 

Gucci

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出典:NSS Mag 

Gucciは、世界的に有名なファッションとライフスタイルのブランドです。ラグジュアリーブランドとして初めてライブ配信を活用し、ビデオショッピングインターフェース「グッチ・アライブ」を立ち上げました。

 

Heinz

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Heinz、疾走感あふれる大手消費財ブランドの1つで、ハロウィンの商品体験イベントを宣伝するために、ウェブでライブ配信イベントを開催しました。ライブ配信メディアにより、このイベントは視聴者のエンゲージメントと成約の面で大きな成功を収めることができました。ハインツは7%のエンゲージメント率1600万以上のインプレッションを様々なプラットフォームで記録しました。

 

Quivr

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出典: Drip

Quivrは2020年に初めてライブコマースの実験を行い、創業者が50人の聴衆にクイバーのブランドストーリーや製品について1時間語りました。このセッションは聴衆から好評を博したため、以降、同ブランドは同様のライブコマース交流を数多く開催しています。このセッションの人気と視聴者へのリーチの増加により、ライブ配信後の24時間の売上が最大で150%増加したことが確認されています。

 

まとめ

ライブ配信が中国やアマゾンのような企業に与えた影響を見て、小売業者はライブ配信を採用しようと競っています。ライブ配信は、各ブランドのオンラインストアにリアルな顧客同士の交流をもたらし、成約率を高め、顧客獲得コストを削減し、顧客維持率を向上させるのに役立ちます。

リアルタイムなフィードバックと顧客との交流データがライブ配信経由で収集されるため、各ブランドは単なる取引データを超えて、顧客向けにカスタマイズされたショッピング体験を提供できます。ライブコマースは、信頼に基づいて構築された新しいコミュニティを生み出しましたが、2022年には、そのコミュニティが主流になると考えられています。


※2022年7月時点での為替レート

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