ライブコマース

導入3ヵ月でCVR202%向上、アーバンリサーチはどんなライブコマースを目指すのか

15以上ものブランドを擁し、衣料・小物を扱うセレクトショップとして国内を代表する存在のひとつであるアーバンリサーチ。2021年からライブコマースをスタートし、2023年2月よりFireworkを導入。すでに感じている効果や今後の課題について伺いました。

1974年に大阪で創業し、「すごいをシェアする」の企業理念のもと、ファッション・ライフスタイル分野での存在感をますます増しているアーバンリサーチ。2006年以降、ECにも力を入れ、会員サービス「UR CLUB」の公式アプリなどを通して、ファンとのエンゲージメント強化を図っています。2021年4月よりライブコマースを行っていたアーバンリサーチが、Firework導入に至ったポイントや、その効果などについて、デジタル戦略全般をデザインするデジタル事業部デザイン課マネージャーの尻江高昭氏と、ライブ配信の現場運用を任されている同課コンテンツデザインチームの須田麻予氏に、詳しく伺いました。

 

導入3ヵ月でCVR202%向上に感じる手応え

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株式会社アーバンリサーチ デジタル事業部デザイン課マネージャー 尻江高昭氏



―Firework導入前のライブコマースの課題は。

尻江氏:お客様に商品を紹介するプロモーションの一環としての動画配信は、以前より行っていました。そこから一歩進んで、商品を検討する方の後押しとなる接客としてのライブコマースに本格的に取り組み始めたのが、2021年4月のことです。ライブコマース課を設置し、本社のある大阪と東京に動画配信専用のスタジオを用意し、スタッフも店長クラスを中心にかなりの人数が在籍していました。今はオウンドメディアのひとつとして浸透したので、デザイン課に統合して須田を中心に運営を進めています。

ライブコマース自体の手応えは充分に感じていたものの、それまで導入していたツールでは配信ページに飛ばないと再生ができなかったんです。Fireworkの場合は、どのページにいても動画をタップするだけで再生可能という点に、大きな魅力を感じました。またSNSに同時配信ができるサイマル配信機能や、多拠点から同時配信できる機能が近日リリース予定と伺ったのもあります。あとはコスト部分のメリットですね。

―実際に導入して感じる効果は。

尻江氏:まだ導入から半年ですが、一番大きいのが視聴者数です。2023年6月の数値になりますが1配信あたりのユニークユーザー(UU)数が930%という数字が出ていて、少し驚いています(笑)。以前はショート動画を量産していたこともあり、1配信あたりの再生が少なかったため、このような数字になっているかもしれません。またFireworkの利用を開始した2月1日から4月30日までの3ヵ月の集計ですが、コンバージョン率(CVR)が202%向上し、平均注文額が118%向上しました。購買を完了するまでのステップが従来より少なくて済むようになったことから、ライブ視聴離脱が減ったことも一因ではないかと思います。また、数値以外の効果でいうと、視聴数が増えることでスタッフのモチベーションも上がっています。店頭で「動画見ました」と声をかけられりすることもあるようです。


客足が店頭に戻ってきた今の課題

―現在はどんな体制、サイクルでライブコマースを行っているのか

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株式会社アーバンリサーチ デジタル事業部デザイン課コンテンツデザインチーム 須田麻予氏


須田氏:大阪と東京のスタジオの2拠点で配信をしていて、私と東京のスタッフが都度カメラを設置し、撮影しています。企画自体は各ブランドのプレスなどが考えますが、撮影やコメントへの対応など、配信に必要な業務全般を、私たちの部門が行っています。ライブコマースを始めた当初は、ほぼ毎日配信をしていましたが、今年は店頭にお客様が戻ってきたことから、配信数を絞って中身を濃くしていく方向に転換しました。ライブコマースに登場する出演者は、主に店舗のスタッフです。私自身も店舗での販売業務を経験しているので、社内の横のつながりで接客が上手な販売スタッフを紹介してもらうこともあります。あとは、ママ目線だったり、趣味だったり、出演するスタッフのもつキャラクターを大事にしています。リアリティがあるほうが静止画では出せない温度感も伝わるのかなと思っています。

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視聴者に人気の「ママの本気コーデ魂〜」配信イメージ(アーバンリサーチ公式サイトより)

尻江氏:他社のライブコマースを拝見すると、店頭から配信をされているところも多く、僕らも挑戦したことがあります。しかし現場のネット環境が不安定だったり、館内放送が入ったりと不安要素が多く、配信を実施できる店舗は限られてしまいます。そのため現在はスタジオから配信しているのですが、今後は須田が地方の店舗に行ってレクチャーしたりすることでスキルを共有し、地方からの配信も行っていけたらと検討しています。

須田氏:今の環境でのキラーコンテンツというのはある程度固まってきたので、Fireworkの機能を使って、もっと配信のバリエーションを増やしたいと考えています。多拠点配信機能を活かして、遠距離にいる人気販売スタッフ同士の配信など、取り組んでみたいです。

 

―Fireworkのカスタマーサクセスチームとはどんなやりとりを?

尻江氏:導入後の軌道に乗るまでだけではなく、定例のミーティングやアップデート情報の提供などで伴走してくれています。導入当初に、画面でポップアップされた形で動画が再生されるピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)機能がうまく作動しなかったときに、Fireworkのエンジニアが細かく確認して「ここを直したほうがいいのでは」などのアドバイスをくれたことで、実装がスムーズにいきました。

須田氏:運用サイドではもっと密に連絡をとっていて、質問や相談の連絡を入れると迅速に対応してくれる安心感があります。 

尻江氏:いろいろなツールのベンダーさんとやりとりしていて思うのが、仕事がうまく進んでいる場合、まだお付き合いを始めて短いのに、もっと前から知っているよね、という感覚になることが多いです。自分たちのことを理解してくれているという安心感というのは、すごく大事だと思いますね。

 

―今後の課題や展望は?

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尻江氏:多拠点配信や動画のバリエーションを増やすほか、店舗のスタッフをより活かしていきたいです。特に若い世代では、ライブコマースに興味がある子が多い。今年の新卒研修でEC現場の流れを一通り見せたのですが、質疑応答で「どうしたらライブコマースに出られますか」という質問もありました。比較的スタッフがモチベーション高く動画に取り組んでくれているので、将来的にはインセンティブなどの評価にも反映できたらいいなと思っています。

あとはサイネージの活用ですね。デジタルとリアル店舗というフィジカルのコンテンツがイコールになっているほうが、お客様も迷いが少ないし、デジタルでもリアル店舗でもシームレスな体験が提供できます。ライブを見た方がお店に来たときには、ライブにまつわることを訴求したり、お客様よってコンテンツを出し分けができるとより豊かな顧客体験を提供できると思います。より双方向型のコミュニケーションが強化できるよう、Fireworkを活用しながら模索していくところです。

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