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代表的なパブリッシャー5社のウェブストーリー戦略 事例を解説

ストーリーテリングの最先端を走り続けるパブリッシャー。昨今のユーザーとのコミュニケーションでは、ウェブストーリーやショート動画などの動画戦略がカギとなっています。今回は世界を代表するパブリッシャー5社のウェブストーリー戦略について事例をご紹介します。

この記事では、ウェブストーリー界で最も革新的なパブリッシャーをご紹介します。ウェブストーリーを最先端のソーシャルメディアとして活用し、視聴者にとって魅力的で引き込まれるストーリーを伝えている経営者やチームへのインタビューも掲載します。

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"Internetting with Amanda Hess "はNew York Timesが最近行った動画実験の一例です。

ここでは、パブリッシャー界のスター5社がウェブストーリーやショート動画などの新しいフォーマットをどのように利用し、短期間でどのような成果を上げたかをご紹介します。

 

1.New York Times

New York Timesは、常にストーリーテリングにおけるイノベーションの最前線にいます。そして、ビジネスモデルやメディアフォーマットの実験に多くの時間を費やしてきました。その究極の目標は、購読者の読書・視聴習慣に多大な価値を付加することです。

ストーリーズは、コンテンツをスナック菓子のように噛み砕いて試せるフォーマットです。New York Timesは最近、ウェブビデオシリーズ「Conception」を制作しました。これは4〜5分の動画6つで構成されており、短時間で見終わることができ、大変好評を博しました

 

「私たちは購読者を第一に考えるビジネスなので、自社のサイトやプラットフォームでは、それら以外で提供されている以上のものを提供する必要があります。YouTubeでは週次戦略が有効であることがわかりました。YouTubeにはより幅広い視聴者がおり、しばしばビンジウォッチ(イッキ見)行動が見られます。そこで、番組を編成して毎週コミュニティにアプローチすることで、時間をかけて視聴者を増やせることがわかっています。」
- Francesca Barber New York Times、動画部門 視聴者拡大・番組編成担当ディレクター 

 

2.Financial Times

New York Timesが様々なショート動画コンテンツに注力している一方で、Financial Timesは50分のドキュメンタリーと50秒の動画クリップの両方をストーリーズで実験しています。興味深いのは、15人のチームで月に最大200のビデオクリップを制作していることです。

ショート動画制作のためにクリップエディターを雇用し、イッキ見を狙ったストーリーズ形式のショート動画の制作を行っています。その結果、ソーシャルメディアではロングビデオの最大5倍のシェアを獲得しています。こちらでは、彼らのブランド・プラットフォームでの実験の一部をご覧いただけます。

Financial Timesは今後も、注釈、フォント、テキスト、動画の最後でのCTA(コール・トゥ・アクション)など、さまざまな実験を実施していく予定です。トピックの紹介として最適な動画や、イッキ見を誘う動画もあれば、共有に適している動画もあり、また「いいね!」を獲得するだけで良い動画もあります。

 

3.Bloomberg Media

Bloomberg Mediaも、他のパブリッシャーと同様に、新しいフォーマットを用いたウェブストーリーの最先端を走っています。「QuickTake」は100人以上のチームからなるBloomberg Mediaの動画プラットフォームの最新版です。

QuickTakeは、何千人ものジャーナリストと、既存のコンテンツを再利用して毎日動画を制作しているチームによって、より若い視聴者に特化したコンテンツとなっています。 

「この動きは、Quick Takeの動画配信を、同社のテレビネットワークが提供する金融ニュースコンテンツから脱却させ、あらゆるビジネス分野の、より幅広くより若い視聴者にリーチする試みです」
-Quick Takeゼネラルマネージャー

 

4.Hearst Magazines

Hearst Magazinesと関連する複数のパブリッシャーは、自社サイトやYouTubeなどで配信している動画コンテンツで有名です。昨今、すべての自社サイトを合わせたコンテンツの再生回数が10億回に迫っていると発表しました。

上記のNew York TimesやFinancial Timesが、コンテンツがいかに購読者の増加に貢献しているかを語っているのに対し、Hearstは視聴者がどこにいてもコンテンツを利用できるようにすることに着目し、視聴者とつながりながら収益を伸ばしています。

「同社の動画開発・コンテンツ戦略を担当するシニアバイスプレジデントであるZuri Riceも、コンテンツがあらゆるプラットフォームで公開されることを望んでいます。「プラットフォームは、私たちのオーディエンスの一部であり、パイの一部でもあるのです。あるプラットフォームは、私たちがより多くの収益を得られる場所かもしれませんし、またあるプラットフォームでは、私たちが視聴者と真に結びついている場所なのかもしれません。もちろん、その両方を実現する場所があるという事がつねに素晴らしいことですけどね。」

 

5.NBC News 

もう1つの世界的なメディアの巨人であるNBC News は、NBC News Digital のビデオユニットである20 人構成の NBC News オリジナルビデオチームや、20 人以上の "Today" 、 14 人の "Left Field"、そして 30 人の "Stay Tuned" チームなど、複数のチームでビデオコンテンツを制作しています。

しかし、この巨大なエディターとプロデューサーのチームにもかかわらず、NBC Newsはより多様で若い視聴者とつながる方法を模索し続けており、それこそウェブストーリーやショートビデオのような新しい形式を必要としています。

メディア企業は、何がユーザーの心に響くのかを見極めるために、より多くの選択肢を持ち、多様なフォーマットを制作する必要があります。今日の煩雑なコンテンツ市場で他社を凌駕する唯一の方法は、規模に応じた学習です。
- メディアコンサルタント会社 "Doing Work As" 共同設立者 Chris Erwin

 

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