ライブコマース

海外で話題の「ライブコマース」が消費者に与える新たな価値

デジタル化が進んだ現在、小売業でも同様の変化が起きています。家にいながらもあの有名ブランドの店員さんに直接相談できる、新感覚のオンライン体験「ライブコマース」について解説します。

ライター:Sukanya Shettigar(スカニヤー・シェッティガー)

世界で人気のブランドに1対1で対応してもらえる日が来るなんて、誰が想像したでしょうか?
ライブコマースの登場は、消費者に大きな影響を与えています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、数年前から実店舗で買い物をする人が減りました。状況はだいぶ落ち着いてきましたが、依然として来店者数は著しく減少しています。来店者数の劇的な減少と、実店舗と顧客との関係の希薄化は売上に甚大な影響を及ぼします。そんな中で、まるで実際の店舗でショッピングをしているかのような感覚を味わえる「ライブ配信」は最適なコンテンツといえます。

新型コロナ感染予防とソーシャルディスタンス確保のため、最近はライブコマースがブームになっています。Coresight Researchプロジェクトによると、ライブコマースは昨年からトップトレンドに入りました。
ライブ配信市場のシェアは、2023年までに250億米ドル(3.4兆円※)に達する可能性があるとされています。また、別の調査によると、SNSの投稿よりもライブ配信動画から購入することが多いと回答したとした消費者が82%に上りました。

 

ライブ配信の人気の高まり

National Retail Federation(NRF)の取締役会長のマイク・ジョージ氏のコメントからの引用:

現在のライブコマースの流行が始まったのは、2010年代中頃の中国からです。インフルエンサーがライブ動画アプリを使用してファンを取り込んでいきました。彼らがニューヨークやロサンゼルスのブティックを訪れる動画を見て、消費者は異国の地を旅行しているかのように感じました。加えて中国では手に入らない製品を発見し、購入できることで人気に火が付きました。

ライブ配信を通したプレミアム感のある没入型の体験が、ブランドと消費者間においてライブコマースが人気を博している理由です。消費者に対してパーソナライズされた形で製品を提供することが、小売業者やブランドがより多くの消費者を引き付けるための重要な差別化要因となっています。ライブ配信には地理的制限が存在しないため、ブランドはこれまでよりも多くの顧客層にサービス対象を拡大できます。

ブランドは、ライブ配信サービスを利用することでZ世代層も開拓できます。WalmartとTikTokのインフルエンサーのコラボレーションがその例であり、ライブコマースでは初の試みです。

Walmartによると、このイベントは当初想定していた7倍もの視聴数を記録し、TikTok上でのブランド認知率を25%上昇させたといいます。

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出典: Retaildive


ブランドは視聴者のコメントを直接読み、彼らとリアルタイムに関わることができます。ライブ配信サービスを利用することで、視聴者は即座に質問に回答してもらうことができ、ブランドとの結びつきが高まります。同時にブランド側も即座に質問に回答でき、在庫状況をリアルタイムに表示できるなど、購入を促進するメリットがあります。

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ライブ配信でブランドの成長を促す

双方向型のライブ配信がマーケットプレイスにおける購買を後押し

ブランドAが幅広い顧客層を有しており、その中の一人ひとりがブランド代表者と1対1でコミュニケーションをとってもらいたいとしましょう。もし人が対応する場合、1日に対応できる人数は限られているため、顧客は何時間、何日間も待ち続けるはめになります。その結果、ブランドAに対する購入意欲がなくなってしまいます。このような場合を防ぐため、多くの顧客と同時にリアルタイムな接続を確立し、ライブコマースを利用して顧客の質問に答えればよいのです。ブランドAは投票機能やライブチャット、オンデマンドコンテンツなどを通じて顧客と関わることにより、ライブ配信をより魅力的なものにできます。

 

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ブランドのサイト上でライブショッピングイベントを開催

ここでもブランドAを例に説明します。この例では、オークションや製品発表会などのイベントにおける商品購入を好む顧客を例にとります。新型コロナウイルスの流行拡大のような条件下で地理的な制限が設けられると、上述したようなイベントでの購入を行えません。しかし、ライブ配信を導入すれば、離れた場所からでもブランドAの商品を買ってもらうことができます。信頼性の高いライブ配信サービスに接続することで、ブランドAはオンライン上での製品発表会やブラックフライデーイベント、バレンタインデーイベントなどを開催できます。さらに、ライブコマース限定商品の宣伝によって顧客を呼び込むこともできます。

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リアルな小売体験をオンラインで再現

ブランドAがオンラインで小売体験を再現するアプリを発表したとしましょう。しかし、顧客がアプリの使い方に手間取り、すぐにアプリの使用をやめてしまうことがあります。そうなると、ブランドAの売上収益は大幅に減少します。そこで、ブランドAには顧客にアプリの使い方を簡単に理解してもらう必要性が生じます。ここで役に立つのがライブ配信グです。顧客は配信に参加しながら直接ショッピングができます。何か困ったことがあった場合は、配信者に直接質問し、リアルタイムで回答を受け取れます。ブランドAとしても、製品詳細や在庫の状況、価格、値引き額などを容易に表示できます。

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ライブ配信サービスを利用するメリット

ライブ配信サービスを利用すれば、ブランドはTikTokをオンライン店舗に変えることができます。ライブセッション中に製品を追加して、視聴者に製品をリアルタイムに見てもらえます。また、10分ほどの動画の制作に2時間〜3時間かかるYouTubeなどと異なり、10分ほどのライブストリーミング動画を10分ほどで制作できるため、時間と手間が不要です。

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ブランドはオンデマンドコンテンツを顧客に視聴してもらうことで視聴者数を増やすことができます。ライブ配信サービスを使用すれば、テキストやライブチャット、写真など様々なコンテンツを自由に利用できます。ライブショッピングにおけるこれらの相互作用を使用すれば、顧客が人間味のあるオンラインショッピング体験を提供するブランドと直接関わることができ、結びつきを高めることができます。

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ライブコマースは、マーケティング戦略のすべてのファネルを活性化します。製品のライブデモを利用すれば、顧客は製品の詳細を理解でき、宣伝にも繋がります。また、ライブ環境でのQ&Aでは、顧客が製品に関して質問できます。もし顧客の課題を解決できる商品を把握していれば、顧客を製品購入検討の段階に引き込むことができます。こうなると、顧客が最終的に製品を購入する可能性が上がります。顧客とリアルタイムで話しながら商品を購入してもらえるため、全工程がスムーズに進みます。

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ブランドは、視聴者数や行動履歴、エンゲージメントなどの重要な指標にアクセスできます。リアルタイムなエンゲージメント分析により、顧客への影響に関する知見が得られ、視聴者の特徴が分かります。ライブ配信のオーディエンスと接続したら、ブランドは、投票やクイズなどを配信に取り入れることにより、視聴者からファーストパーティデータを獲得できます。さらに、このデータを元に個々に合ったサービスやお勧めの製品を提案できます。これにより、ブランドはライブ配信イベントをカスタマイズでき、コンテンツ戦略全体を状況に応じてより良いものにできます。

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信頼性の高いライブ配信サービスは、動画APIによるアクセスを備えています。ブランドのライブ配信担当者は外部プログラムやアプリを統合して動画のホスティング体験をカスタマイズできます。これらには、ミキサー、エンコーダ、CRMなどが含まれます。この機能を利用すると、ブランドは、ウェブサイトにインフルエンサーのストアを簡単に統合できます。そのため、インフルエンサーマーケティングを最大限利用してインフルエンサーのフォロワーやファンを取り込むことが可能です。

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ライブ配信を活用するブランドの事例

 

ライブ配信チャンネルでショッピングをできるようにするだけでは、このアプローチは成功しません。ブランドが顧客を取り込むためには、ライブ配信において視聴者に価値を提供する必要があります。

ここからは、ビジネスの収益を上げるためにライブ配信を活用している、小売ブランドの事例をみてみましょう。

 

Aldo

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出典: Retail Insider

昨年、Aldoはライブコマースを開始するにあたってイベントを開催すると発表しました。ライブ配信において視聴者に付加価値を提供するため、同ブランドはセレブに人気のあるスタイリストMimi CuttrellとTikTokの人気スターNate Wyattを共同開催者としました。2人はイベントでファッションの秘訣やAldoの好きな製品について話し、同時に視聴者はAldoの2021春コレクションを閲覧できました。するとウェブサイトは17,000ページビューと308%のエンゲージメントを稼ぐことに成功しました。

 

Nordstrom

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出典: Drip.com

同ブランドは専用のライブコマースチャンネルを開設しました。ライブ配信を利用することで、ブランドはこれまでよりも効果的に顧客と関わることが可能になりました。Nordstromを利用すれば、顧客はライブ配信で取り上げられた商品を購入できます。

さらに同ブランドのチャンネルでは、追加でショッピングイベントが開催されました。
特に人気だったのは、以下のイベントです。

  • 特別なシーンに向けたドレス紹介
  • 春のビューティートレンド
  • ベストな秋ファッション

イベントでは限定版旅行セット用品や肌に関する無料相談などのサービスが紹介され、これらの取り組みによってブランド広告出費の8倍もの利益を稼ぐことに成功しました。

 

Fireworkが提供するライブコマース体験
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Fireworkは、カスタムウェブサイトに接続するノーコードプラットフォームとEコマースCMSソリューションを使用します。それにより、ブランドが管理しているウェブサイトやアプリに質の高いライブコマース体験をシームレスに統合できます。

Fireworkを使用すれば、ブランドは優れた技術を得られ、顧客と素晴らしい関係を築くことができます。ショート動画によって顧客との結びつきを高めることができます。さらに、スワイプ・ショッピングができる双方向型の体験を提供し、すべての主要ななCMSにもスムーズにリンクできます。

Fireworkは、パブリッシャーやブランドにおけるショート動画の企画、制作、管理を手助けするサービスやツールをセットで提供します。これらのセットには、ブランドがコンテンツを収益化するために必要なものを提供するOpen Story Pageが含まれます。

 

まとめ

ブランドは顧客と長期的な関係を築けるように注力する必要があります。ここまで、ライブコマースが大いにその助けになることを紹介してきました。ライブコマースは、顧客と関わり、売上を効果的に上げるためのエンターテイメントとコマースを統合したものです。

ライブ配信の視聴者と直接つながることで、ブランドは独自の動画ショッピング体験を提供することができます。ライブ配信を使用すれば、ブランドは顧客とリアルタイムに関わり、会話の頻度を増やし、コミュニティ主導の体験を提供できます。

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