ライター:Priyam(プリヤム)
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)をめぐる議論は白熱しており、ビジネス関連用語の中でも最大のバズワードとなっています。加えて、コロナ禍の影響で顧客の動向全体が一変したため、小売を含めた多くの企業で急速にDXが進みました。
Fireworkのグローバル・プレジデント兼CBOであるJason Hollandは最近、NRF(全米小売業協会)による「The Omni Talk Spotlight」ポッドキャスト特別版に参加しました。
本記事では、ここで行なわれた議論の中から、「オンライン小売業が次世代の若い顧客のニーズに応えるため、喫緊の課題であるDXにどう取り組めばよいか」というテーマについて解説します。
現代の顧客動向と小売業への理解
過去10年間でオンラインショッピングは目覚ましい成長を遂げました。2021年、アメリカのオンライン小売売上は7680億ドル(102兆4742億円※)に達し、2023年までには小売総額の約20%を占めると予測されています。コロナ禍において、消費者はすでにオンラインショッピングの利便性と安全性を実感しており、この需要は増加の一途をたどるでしょう。そして消費者年齢の中央値が下がる中、Z世代の思考や消費行動は従来とまったく異なり、ライブコマース・縦型動画への関心が高まっています。
2017~2025年アメリカ小売業のEC収益推移(Statista調べ)
ショート動画やライブ配信は、商品だけでなく「体験」を積極的に求める若い消費者の間で爆発的な人気を集めています。コロナ禍においてショート動画の利用が急速に増大した理由は、エンタメを求める消費者がSNS上で手軽に楽しめる動画コンテンツを好んだからです。Coresight Researchによれば、ライブ配信コマース市場は2025年までに250億ドル(3兆3335億※)に達するとされています。
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小売業におけるDXの現状と課題
スワイプでき、モバイルに最適化され、没入感の高いショート動画は、すでに世界中の消費者にとってごく当たり前のエンゲージメント・メディアとなっており、小売業界もこの事実を認識しています。
とはいえ、小売業界はDXに取り組み始めたばかりであるため、モバイル、オンライン、動画を柱とする「アテンション・エコノミー(関心を競う経済)」の中で、足場を模索中の企業がほとんどです。
SNSや検索エンジンプラットフォームのような、閉鎖的な「ウォールドガーデン」に大きく依存したままでは、顧客エンゲージメントを一変させるのは困難です。つまり、トラフィックの購買意図が低く、安全性に欠け、目移りさせる要素が多く、運用コストも高い「ウォールドガーデン」上のROIはもはや正当化しづらくなっています。
SNS向け横型動画制作に資金を投じても、収益や成長に大きな影響を与えることはできません。つまり、トラフィックの獲得に費用を回したとしても、顧客体験は貧弱なものになります。それではSNS上での買い物は楽しいブランド体験にはならず、顧客のリテンションやロイヤルティには結びつきにくいのです。
小売企業には、活用できる自社の資産があるのです。
今でも、取引の97%はSNSではなくECサイト内で行なわれています。DXを効果的に進めるためには、ライブコマース・縦型動画を自社サイトで展開し、顧客体験を一新する必要があります。
大手スーパーマーケットである「Albertsons」や「The Fresh Market」といった小売企業は、Fireworkのテクノロジーを生かしたショッピング動画やショートコンテンツ、ライブ配信によってオンラインでの買い物体験を向上させてきました。こうしたブランドは、動画上のインタラクティブな買い物体験に対する抵抗感を払拭し、新たな小売体験をもたらしています。
例えば、Albertsonsは美しく没入感の高い動画コンテンツを通じて「Pinterest for Food(食のPinterest)」を創出し、エンゲージメントおよびコンバージョン全体を向上させてきました。動画戦略に基づいてレシピやセット販売、商品一覧や、グルメな層に豊富なコンテンツを提供することで、コミュニティを形成する買い物体験を推進しています。
The Fresh MarketはFirework導入以来、短期間でコンバージョン率の39%上昇、CTR(クリックスルー率)25倍の改善、4200万以上の動画エンゲージメントを達成しました。
小売業DXにライブコマースを取り入れる方法
ショートライブ動画こそが、未来志向の卓越した小売体験へと前進する方法です。この項目では、ショートライブ動画の始め方について解説します。
ショートライブ動画の導入によって「ショッピング×エンターテインメント=ショッパーテインメント」体験を創出するプロセスは、以下の4段階に分けられます。
- ステップ1 – 統合
- ステップ2 – ショッピング動画
- ステップ3 – ライブ配信
- ステップ4– 小売メディアスペース
ライブコマースのインパクトを最大化するには、すべての工程を連携させましょう。SNSプラットフォームでバラバラに行っては、リターンを増やすことはできません。クローズドなアプリ内のショッピング動画とライブ配信によってトラフィックやコンバージョンを高めるのは困難です。
Fireworkはたった1行のコードで、貴社のウェブサイトをSNS発祥の縦型動画とライブショッピングを体感できる場へと変容します。
- Fireworkの特許技術は超高精細で遅延の少ない配信と、規模に合わせて効率よく対応できる統合的な動画ショッピングを実現します。
- Facebookの平均エンゲージメント指数:CTR0.8%に対して、Firework4~5%
- Instagramストーリーのレスポンス率中央値:0.02%に対して、Firework3~6%
動画コンテンツの作成→
l FireworkのAI搭載動画作成スイート「Creation Studio」で、長時間の横型動画をスマートかつ効果的に、モバイル視聴に最適な30秒のショート動画に変換できます。
l クリエイターは機能豊富なツールを駆使して、縦型動画コンテンツを制作できます。小売企業やD2C(消費者直結型)企業がすぐに使える、200万種類以上のショート動画素材もそろっています。
トラフィックの増大→
l デジタルパブリッシャーとFireworkのネットワーク(Hearst、 Conde Nast、 Group 9 Media、 Evolve media)をつなぐことで、トラフィックを獲得しやすくなります。
l Fireworkのストーリーブロック・ユニットを使った没入感の高い動画を、サイト上に適切に配置すれば、視聴者を夢中にさせることができるでしょう。
l 水平型から垂直型連携への移行によって、デジタルパブリッシャーと小売およびD2Cブランドをつなぐ一体感が生まれ、オープンウェブ全体からさらに効率よくトラフィックを呼び込めるようになります。
小売業のDXに関する重要なポイント5つ
小売企業に関する議論が多々ある中でも、まずは以下の行動目標を念頭に置くべきでしょう。
- TikTokやインスタなどの「ウォールドガーデン」への依存を減らす(ビジネスと顧客の両面で、成長動因へのコントロールを取り戻す)
- 顧客の求めるもの(動画による楽しさの体感)を提供することで、デジタル小売体験へのコントロールを再確立する
- 今後の成長の鍵である顧客との関係を改善し、より良いプラットフォーム、より良い体験を構築する
- あちこちの「ウォールドガーデン」にかけるマーケティング費用を減らすとともに、自社保有の顧客データ(ファーストパーティデータ)に回帰する
- ライブ配信によって斬新で臨機応変な買い物体験を構築する
ライブコマースによって得られる濃密なリアルタイムのデータは、顧客1人ひとりに合わせたインパクトある体験の構築に不可欠です。たとえば、ある視聴者が8分間配信を観たとして、コメントとリアクションは3倍になり、商品を1点カートに追加しても、決済には至らないケースもあります。
データポイント同士が相互にどう作用するかを俯瞰することで、ユーザー行動の詳細が分かり、買い物体験のカスタマイズを前もって行うことができます。着実に実行すれば、満足度の高い買い物体験を構築し、従来のオンラインショッピングよりもはるかに短時間で、ブランドへのロイヤルティやリテンションにつなげることができるのです。
オンラインショッピング体験の向上に関心のある方は、今すぐFireworkのソリューション専門家との個別相談をご予約下さい。
(※2022.8月時点でのレート、1ドル=133.43円換算)