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食いしん坊メディア「dancyu」の動画戦略に迫る。Fireworkの縦型ショート動画・ライブ配信活用法

ウェブメディア運営は多忙を極める中、dancyuではどのように動画配信を実現したのでしょうか。dancyuの縦型動画・ライブ配信活用法について、運営するプレジデント社 デジタル事業本部カスタマーマーケティング部の安田敦部長と、Fireworkでの動画制作や配信を主に担う同部の岸本圭介氏に聞きました。

「FW Studio」活用で簡易に制作、サイト内回遊や滞在時間増に寄与。イベント配信も

プレジデント社が発行する、全国の「食いしん坊」の食と暮らしを豊かにする体験型メディア『dancyu(ダンチュウ)』では、公式サイトでFireworkの縦型ショート動画を導入しています。

「編集長・植野が2021年に”印象に残った10皿”」や、「ワインに合う夜のチーズつまみ」「南風薫るたまご料理」など食にまつわる動画コンテンツをdancyuならではの視点で掲載。読者の目を引き、サイト内回遊や滞在時間のアップ、直帰率の低下にもつながっています。また、Fireworkのライブ配信機能も活用し、イベントなどの配信にも取り組んでいます。

ウェブメディア運営は多忙を極める中、dancyuではどのようにして動画配信を実現したのでしょうか。dancyuの縦型動画・ライブ配信活用法について、運営するプレジデント社 デジタル事業本部 カスタマーマーケティング部の安田敦部長と、Fireworkでの動画制作や配信を主に担う同部の岸本圭介氏に聞きました。

FWJP-CS03-dancyu02プレジデント社 デジタル事業本部 カスタマーマーケティング部 部長 安田敦氏(右)、同部の岸本圭介氏

縦型ショート動画を簡単に作成・配信できるツールとして導入。ライブ配信も魅力

ーFirework導入の経緯や背景を教えてください。

安田さま:Fireworkの国内のメディア担当の方からメールをいただき、そこで初めてFireworkを知りました。打ち合わせをしたところ、そんなにハードルが高くない費用感だったので、本格的に検討に入り、今年の4月にまずはPoC(概念検証)期間として3ヵ月やってみようということになりました。

動画に関してはdancyuの公式YouTubeチャンネルを約3年前から運営しており、Instagramでインスタライブを行った実績もありますが、元々公式サイト上でも動画を展開したいと考えていました。雑誌の愛読者の皆さまだけでなく、公式サイトを通じて年齢・性別問わず新たなファンを開拓していきたいという思いがありました。

ソーシャルメディアからはなかなか自社サイトに流入しなくなっている中、次世代の分散型インターネット「Web3.0」の流れもあり、公式サイトでもエンゲージメントの高い読者を増やしていきたい。そのためにはお届けするコンテンツのバリエーションを増やし、dancyuの世界観をじっくり味わっていただきたいといった狙いがありました。

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岸本さま:当時SEOの観点から、ストーリー形式の「AMP Stories」の関連ツールなども検討していました。結局、縦型動画を簡単に作成・掲載できるだけでなく、ライブ配信の機能もあるということが決め手となり、Fireworkの導入に至りました。

dancyu公式サイトのトラフィックの比率は3割がPCで、7割がSP(スマホ)です。スマホ最適の縦型フォーマットも魅力でしたね。

 

「FW Studio」で手軽に動画作成・配信。回遊・滞在時間アップにも寄与

ーFireworkをどのように活用していますか。導入の成果についても教えてください。

岸本さま:取材で撮影した写真などの素材を活用し、公式サイトのトップページにFireworkの縦型動画を複数掲載しています。内容は、著名人の食紀行、プロや料理研究家のレシピなど。トップページを彩り、記事への導線にもなっています。

unnamed-2dancyu公式サイトより


動画というと撮影・編集の専門部隊が必要だと思う方も多いようで、「これ、何人体制でやっているのですか?」と聞かれることもありますが、Fireworkについては特段、専門の体制を設けることなく運用できています。取材の際に撮影した動画や写真素材を活用し、私自身が動画制作・配信ツール「FW Studio」で簡単にショート動画にまとめたものをアップしています。

FWJP-CS03-dancyu05豊富なテンプレートや無料素材で誰でも簡単に動画制作が可能な「FW Studio」

FW Studioを使えば、わざわざFirework用の動画素材を撮ったり、編集ソフトを使ったりしなくても、画像やテキストがあれば簡単に動画を作成できます。写真をチョイスして、テキストを考えて編集していくと、1本あたり30分ぐらいでできてしまいますね。

導入後、Fireworkには、動画に載せるテキストの縦書き対応や操作性の改善など、細かい要望にどんどん対応していただきました。スタートアップならではのスピード感と、きめ細かい対応に感謝しています。

動画の専門体制を敷くとなるとそれなりのコストがかかってくるので、費用対効果をシビアに追いかける必要がありますが、FW Studioを活用したことで、体制を変えずに低いハードルでスタートできたのもよかったです。

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安田さま:PoC期間にFireworkの動画に接触した読者のページ・セッション数が、接触していない読者の6倍と、回遊率に寄与していることが分かりました。比例してサイト滞在時間は6倍に増加、また直帰率は3分の1に下がったという結果が出ています。


岸本さま:
実際に数字として成果が出ているということは、読者の皆さまに新たな価値を届けられており、一つのコンテンツとして認めていただいているのかな、と手応えを感じていますね。結果を受けて、7月から本格導入しています。

 

1万人動員のリアルイベントをライブ配信、集客にも貢献

安田さま:また、イベントのライブ配信も行っています。dancyuでは「食いしん坊倶楽部」という17,000人を超える会員組織があり、会員の皆さまに楽しんでいただくため、また入部促進のため、著名な料理研究家さんらにご登場いただくイベントを月1回行っています。

イベントの主な配信はYouTubeで行っていますが、サブ動画として、なかなか見られないようなゲストの手元などを編集者がスマホで撮影し、Fireworkで配信しています。動画内にリンクを貼ることもできるので、実際にFireworkのライブ配信を見た方が「dancyu食いしん坊倶楽部」の会員になっていただくという流れができました。

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岸本さま:また、8回目となった今年4月のリアルイベント「dancyu祭2022」でもFireworkのライブ配信を活用しました。コロナ禍を経て3年ぶりの開催となった本イベントでは「食いしん坊大集合!」と銘打ち、なかなか味わえない店のオリジナルメニューやお酒、お持ち帰り用のグルメも充実させ、2日間で約18,000人の来場者を集めました。

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その際、告知ページでFireworkを使ったライブ配信を実施しました。会場となった東京・新宿の住友ビル・三角広場の2階から賑わっている様子を中継したところ、常時数百人、累計で数千人の視聴者数を記録しました。これには驚きましたね。

安田さま:コロナ禍を経て久々のリアル開催だったので、読者の皆さまも会場の雰囲気や出店店舗の様子が気になっていたのだと思います。実際に動画を見て現地にいらっしゃった方もいて、集客に役立ちましたね。

 

今後は動画のバリエーションを増やし、広告案件への活用も

─今後の展望についても教えてください。

岸本さま:ウェブの世界ではさまざまなサービスやツールが出てきますが、dancyuとしては今後も戦略を持って使い分けていきたいと考えています。

SNSは認知獲得のため、またイベント告知やコミュニケーションの場として使っていますが、そのプラットフォーム内でトラフィックが完結してしまうので、我々が「意図を持って使う」ものではあっても、「使われる」ものではないと捉えています。

安田さま:多くのメディアを集めるコンテンツプラットフォームも同様で、読者からすると、個別メディアの記事としてではなく、そのプラットフォームで記事を読んだという認識になってしまいます。トラフィックもなかなか各メディアに返ってこないという課題があります。

dancyuの公式サイトは、できるだけ関係のない情報や広告は入れずに、読者の皆さまの「体験」や「信頼性」を重視した場所でありたいと考えています。今後さらに公式サイトのPVや滞在時間を意識し、読者の皆さまのエンゲージメントを高めていこうとする中で、「パートナーメディアの自社サイトを充実させる」という明確な思想を持ったFireworkとの親和性の高さを感じていますね。

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岸本さま:食にまつわるコンテンツは年齢・性別問わず楽しんでいただける普遍性に加え、時事ネタに比べて、比較的鮮度が落ちることなく、色褪せない。もちろんトレンドはありますが、数年前の記事でも季節がめぐるごとに旬のキーワードから検索で流入し、毎年PVが伸びるものもあります。食の動画も同様の魅力があると考えています。

今後はショート動画のバリエーションをもっと増やしていきたいです。編集部にもどんどん活用してもらい、誌面には惜しくも掲載できなかった未公開カットに取材の裏話なども交え、ショート動画にして展開できたらいいですね。

将来的に、FW Studioでの動画編集もAI活用などでより簡易になっていくと、活用の可能性もさらに広がるのではないでしょうか。加えて、Fireworkで作成した動画が他のプラットフォームにもマルチユースできたり、SEOにも効くストックコンテンツとしても効果的に活用できたりするようになるといいですね。

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安田さま:また編集コンテンツとしてだけでなく、広告の領域で、クライアント様のタイアップ案件でも活用していきたいですね。Fireworkサイドもサポートしてくれると言ってくれているので、頼もしいです。

来年はプレジデント社として60周年を迎え、新たな仕掛けをやっていきたいタイミングでもあります。Fireworkの活用余地は大いにありそうです。

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