ニューヨークのストリートスタイルをコンセプトにし、国内外から熱烈なファンを獲得しているブランド「LFYT」を展開する「Lafayette(ラファイエット)」は、ブランドサイトにFireworkを用いて縦型ショート動画を導入。また本格的なスタジオを設け、Fireworkを使ったライブ配信にも取り組んでいます。
神奈川県藤沢市でセレクトショップとして2003年にスタートし、国内にとどまらずNYにも出店。ヒップホップやスケートボードなどのカルチャーを採り入れ、ブランドとして音楽イベントも主催するなど、その世界観も精力的に発信してきました。
地域に根付いた独自性の高いリアルな取り組みの一方、他のブランドに先駆けたデジタル・SNS施策にも積極的で、様々なツールを導入し、動画配信にも取り組んできたそうです。縦型動画やライブ配信を採り入れた先進的な取り組みやその戦略について、最高執行責任者の和田裕明さんに聞きました。
-これまでの貴社の取り組みやチャレンジ、またFireworkの導入に至った背景について教えてください
「ラファイエット / Lafayette Co., Ltd.」は2003年に神奈川県藤沢市でセレクトショップの運営からスタートし、2022年に19年目を迎えました。
私たちは、ストリートブランド「LFYT」、セレクトショップ「Lafayette / PRIVILEGE」を展開していて、国内だけでなく、「PRIVILEGE NEWYORK」としてNYにも出店しています。ストリートのラッパーやDJ、スケーターといった方々とのつながりが基盤にあり、いわゆるアンダーグラウンドカルチャーがブランドの根幹です。
横浜など他の地域にも店舗を増やしていきながら、ECも開設しました。まだまだ店舗の売り上げが主軸でしたが、この10年、ファストファッションの台頭やSNSの登場、コロナなど厳しい波にさらされる中で、やはり伝統的な売り方だけでは立ち行かなくなると以前から感じており、2013年ごろからECやバックヤードの在庫管理の仕組みも含めて一気に整備を始めて、そこからECの売り上げが大きく伸びていきました。
また、ファッションブランドとしては珍しいと思いますが、私たちは世界観を伝えるため、海外からアーティストやDJを招いて音楽イベントやクラブイベントを頻繁に開いていました。ブランドが発信するカルチャーが、国内外のファンから支持をいただいている理由の1つだと考えています。
ところがコロナ禍になり、リアルイベントが一切できなくなりました。その代わりに、インスタグラムを使って店舗でライブ配信をしていたのですが、もっと別のライブのあり方はないかと常に考えていました。そこで、当時盛り上がり始めていたライブコマースを、自社サイト上で配信する方法を検討し始めました。
2021年の夏ごろ、数社を調査・選定した上でFireworkの導入を決めました。「使いやすそう」というのがFireworkの第一印象です。使いやすい管理画面で手軽にショート動画を載せることができ、ユーザビリティが高く、扱いやすそうだなと。
-Fireworkを現在どのように活用されていますか?
2021年にブランドサイトと、メインのECサイトにショート動画を設置し、2022年からライブ配信も含め、本格的に使い始めました。
デジタルの取り組みについては比較的早い方だと思いますが、こういった新しいツールは社員や店舗のスタッフを巻き込まないと浸透していかないので、いかに皆を巻き込むかということを導入前から考えていました。
そこでまずは、スタッフの身長や体型がバラバラなのを生かして、お客様の着用感の参考にと、各店舗のスタッフにアイテムを身につけてもらい、ショート動画を撮ってもらいました。
スタッフがまずはインスタにショート動画を撮ってアップし、本社のウェブチームがFireworkの管理画面でインスタグラムのストーリーから動画を取り込んで、サイトに載せるというフローを作りました。インスタで動画撮影には慣れているので、ハードルが低く導入しやすかったです。
動画には実際の店舗スタッフが出るので、リアル店舗でも話題になりますし、サイズ感も伝わりやすいようです。店舗に来店するお客様にも一定の効果があるという報告を受けています。通販サイトでは、ページの平均滞在時間が12%増え、コンバージョンも増えています。サイズ交換の割合はグッと減り、オペレーションやコスト面でのメリットも大きいです。
-ライブコマースもかなりユニークな方法で活用されていますね
Fireworkでのライブ配信は2022年の2月頃から始めました。それまではインスタグラムで新作を紹介したり、お客様とやりとりしたりするライブを行っていたのですが、モデルカットや商品撮影用に整えた自社スタジオを使って、ライブ配信や動画撮影をリブランディングしようということになりました。
2021年末に本社近くに設けた撮影・収録用のスタジオ「Lafayette LAB」。物撮り撮影、画像加工、動画撮影、動画編集、モデルカット撮影、ライブ配信などで多面的に活用できる秘密基地(ラファイエット提供)
今は2週間に1回の頻度で配信しています。配信前にある程度ストーリーを練って、目玉となる商品を決めておき、配信中に限定商品やレアなアイテムなどを案内しています。実際、すぐ完売したものもありました。また、有名なYouTuberなどインフルエンサーがゲストの回は視聴数が伸びますね。
ライブの醍醐味を感じたこんな事例もありました。視聴されているお客様とのやりとりで、「こういうステッカーがあったらいいな」というコメントを受けて、「実際に作っちゃいましょう」とその場で決定して、2週間後の次回のライブ配信で、0円で新作ステッカーを提供することにしました。非常に多くの方がサイトを訪問してくださり、ステッカーをご注文いただきました。まさにライブの面白さを感じた瞬間でした。こういう好事例は増やしていきたいですね。
–Fireworkを今後どのように活用していくか教えてください
SNSも含め、動画が台頭してくる前は静止画でのアイテム説明となり、「買う・買わない」の決め手に欠ける部分がありました。今後はECも動画が主流になると考えています。
何よりFireworkに共感しているのは、「導入企業の自社サイトを充実させる」という思想です。Fireworkは自社サイトに埋め込むことができるので、自社サイトを強化することに直結します。もちろん総合ファッションサイトにも展開していますが、我々の場合は自社サイトの売上がダントツです。
インスタグラムのコマース機能などもありますが、結局はどこまでファンの皆様が自社サイトを訪問してくださって、自社サイトで購入してくださるか。これを志向することが企業やブランドの価値になりますし、ブランドを強くすると思っています。
当たり前の話ですが、自社サイトの方が手数料も抑えられて利益率が上がり、決済がシンプルにもなります。アマゾンから撤退したナイキの例もありますし、自社サイト・自社ドメイン重視の動きは今後も高まっていくと思います。
まさにこの点がFireworkの強みであり、導入企業の自社サイトのユーザビリティを良くしたり、コンバージョンを上げたりしたいというFireworkのような思想を持っているツールは積極的に採り入れたいと考えています。今後同様の思想を持ったツールは増えていくでしょうね。
今後ももちろん、自社サイトでのライブコマースは継続していきます。ライブ配信をすると、お客様との関わりやつながりが深くなります。ライブ配信で新規のお客様を獲得するというよりは、既存のお客様のロイヤリティ(愛着の度合い)を高め、ひいてはLTV(生涯顧客価値)を上げるという観点でも、今後導入の成果が出てくると思います。
ラファイエットのライブコマースの目的として、最終的には売上を上げることが命題なのですが、まずは自社サイトを訪問してくださるお客様、会員の皆様のエンゲージメントを醸成していくことが目的でもあったので、そのための方策は今後も思いつく限りやっていきたいです。
またFireworkでは、これまでのライブ配信を動画としてサイト内に埋め込むことができますが、今後要望したいのは、配信で話した内容をAIなどで文章に起こしてコンテンツ化し、SEO的にも強いアーカイブとして残していけるような機能です。「自社サイトを強くする」という思想にも合致すると思います。
–最後に、貴社の今後の展望についても教えてください
弊社はサイト制作から在庫管理、発送、物流など、ECで培った知見や、Fireworkのような最新ツールを採り入れたデジタル活用のノウハウを持っています。情報収集を怠らず、トライ&エラーを繰り返しながら、低価格で利便性の高い、本当に必要なツールだけを取捨選択し、より効果的な使い方・運用を追求してきました。
アパレルは中小企業が多く、売上規模としても大きいわけではありません。そんなノウハウが、同じくコロナなどで苦境に陥っている他社の皆様のお役に立つことが分かり、3年ぐらい前からコンサルティング事業も始めています。アパレル業界はこれまでも、これからも決して順風満帆ではないと思いますが、自分たちが持っているアセットやノウハウで何か新しいことはできないかと常に模索していきます。
また、ラファイエットは会社設立の経緯から地元との結びつきが強く、何か地元を盛り上げるようなことができないか、という考え方は立ち上げの当初からずっとありました。
藤沢市とローソン、ラファイエットの3者で「プラスチックごみ削減及びシティプロモーションに関する協定」を締結したことをきっかけに、3者でコラボレーションした「FUJISAWA CITY」ロゴのグッズをデザインし「Lafayette」店舗とローソンで販売、その収益の一部を藤沢市環境基金に寄付するという施策も行っています。
今後のFireworkでのライブ配信はラファイエット誕生の地であるここ藤沢だけでなく、NYや東京、新潟や高崎にも店舗があるので、各地の店舗から配信する形にしてもいいですね。「今日はニューヨーク店に有名なDJが来てくれていますので、NYからお届けします」みたいな感じで。どんどん新たな挑戦をしていきたいです。