クロスプラス株式会社(以下、クロスプラス)は、レディースアパレルの製造販売を中心とした、設立70年を迎えた企業で、自社 ECサイトとして「クロスプラスオンラインストア」の運営を行う一方、N.O.R.C(ノーク)やJUNKO SHIMADA(ジュンコシマダ)、ATSURO TAYAMA(アツロウ タヤマ)などレディースファッションを中心におよそ20のブランドを手掛けています。近年ではアパレルの領域に留まらず、「パステルマスク」や、男性用の尿漏れ対策ボクサーパンツの「キープガード」といった、ライフスタイルを豊かにする商品の販売にも注力しています。
クロスプラスでは、2023年4月のFirework導入以来、ライブ配信やショート動画による大きな手応えを実感しているという。EC事業部 EC ディビジョンの谷 昌典氏と伊藤 沙耶花氏に、Fireworkを導入したきっかけや効果、今後の活用方法などをお伺いしました。
―Firework導入のきっかけは?
谷氏:Firework導入前は別のライブ配信ツールを使っていたのですが、システムが複雑で使いきれていない部分がたくさんありました。そんな時にFireworkをご紹介いただき、ライブ配信だけではなく、ショート動画をはじめとしたシンプルで拡張性のある機能に魅力を感じました。特にECサイトへ動画を埋め込む機能を利用すれば、よりサイトが充実してみえると期待して導入が決まりました。
最初にFireworkの動画フォーマットを見たときに、かなり高いポテンシャルを感じました。サイトに組み込むだけで「新しいお客様を獲得できるんじゃないか!」ぐらいのインパクトはありましたね。サイトにアクセスした際に、自然に動画の再生が始まるというその敷居の低さ、それを自社のシステムに容易に組み込めるというのは非常に嬉しいポイントでした。
―実際に活用してみての感想は?
谷氏:以前に使用していたツールでは、コロナ禍で店舗での接客が難しい時期に使用していたこともあり、配信ごとに台本を作り込み、1本の配信時間がかなり長尺になっていました。
伊藤氏:(ライブ配信する際に)専用ページを作り、そこに商品を事前登録しておく必要があったんですよ。
谷氏:そうした面もあり、配信日の2~3週間くらい前から準備をする必要があったので、良くも悪くもライブ配信は大がかりなものになっていました。しかし、Fireworkを導入したことで1回あたりの配信にかかる負担はかなり軽減されました。SNS投稿の延長線上のような感覚でカジュアルに、自社のECサイト上でより伝えたい内容を動画で配信できるようになりました。
伊藤氏:動画の配信だけではなく、動画の編集においても、Fireworkは専用のソフトウェアで編集するのと比べて本当に簡単で使いやすいですね。
谷氏:管理画面の効果検証ページも見やすく、非常に使いやすいこともポイントです。ユーザー数や視聴時間などを簡単に検証出来るため、配信の翌日にはメンバー全員でその成果を確認して、次回の企画・立案の参考になるデータを得られるようになりました。管理画面上から動画の効果検証が簡単に出来るのは、(弊社にとっては)かなり大事なポイントです。
―Fireworkの導入で感じる効果は?
谷氏:Fireworkを導入してからおよそ半年*1が経過しましたが、現在はショート動画をメインに利用しています。トップページや商品の詳細ページに約15秒の商品紹介動画を配置しています。内容は商品の着用感や生地感がよく分かるようなものにしており、オンラインサイトで初めて購入されるお客様や、サイズで迷われているお客様に、より商品をご理解いただけるような動画制作に努めています。こうした取組みを意識的に行った結果、動画を視聴したお客様のCVR(コンバージョン率)が全体の平均に比べおよそ6倍となり、お客様がより安心して商品をお買い求めいただけるようになったと感じています。
ある期間の集計*2ではECサイトでのお客様の滞在時間は全ユーザー平均に対して、ライブ配信を視聴していただいたお客様は約200%以上、ページセッション数もブランドによって130%からおよそ200%といずれも改善しているという結果も得られました。
また、商品ページで使っている画像を動画風に編集したものも試験的に制作しましたが、こちらもかなりの効果が上がっています。動画の再生数は伸びていて1カ月あたりで約4万回となっています。
これらの取り組みを通じて、お客様に着用感やサイズ感が正しく伝わることにより、今後は返品率が下がることも期待しています。
―Firework導入にあたっての懸念点はありましたか?
谷氏:ECサイトを運営する担当者にとって新しいシステムを導入するというのは、何をするにしてもかなりのハードルだと感じていました。当社は20ほどのブランドを手掛けており、各ブランドごとに特徴があるために横軸でひとつのシステムを導入することに対しては、どんなシステムでも親和性があるブランドと、そうではないブランドが出てきます。
そうした懸念点はあったのですが、まずは可能なブランドから導入してみようとスタートしました。Fireworkさんからのバックアップ体制がかなり整っていましたので、導入は本当にスムーズに進みました。
ライブ配信の際の商品登録、ショート動画の編集などちょっとした不安点でも、その場で連絡すればすぐに解決していただけるので心強いです。
伊藤氏:導入に関してはFireworkの担当の方にお任せしていたので、実際には動画を制作するところからでした。動画制作についてもハードルが高いな、という先入観は抱いていました。多くの素材を準備しなければならないのか、編集にはものすごい時間がかかるのではないのか、操作も難しいのではないかと。でも実際に使ってみたら、全然そんなことはありませんでした。今はもう動画をスマホで撮影して、アップするだけぐらいな感じです。本当にSNSに投稿する延長線上ぐらいの感覚でFireworkを利用できています。
―モード学園との産学連携プロジェクトにもFireworkを活用いただいてますね。
伊藤氏:クロスプラスではモード学園さんとの産学連携プロジェクトを進めるなかで、LE SOUK HOLIDAY(ルスークホリデー)というブランドの動画を学生さんに制作してもらっています。Firework向けの動画編集ツールの「Creation Cloud (旧Fireworkスタジオ)」は、専用のソフトを用意しなくても、学生の皆さんがスマホで撮影したものをウェブ上で編集作業が可能です。またデータの受け渡しも容量を気にせず行うことができます。動画編集とウェブサイトへの投稿は別になっているので、学生さんには編集のみをお願いして、こちらで最終確認してから実際にアップできるというのも安心できるポイントです。
―Creation Cloudを使ってみた学生の皆さんの反応は?
伊藤氏:Creation Cloudは学生の皆さんやZ世代の方が普段から慣れ親しんでいるスマホアプリのように、アイコンで感覚的に操作ができます。特殊な動画編集の技術が必要とされないので、大変使いやすいと感じています。学生の皆さんが普段から見ているSNSなどに近いので、自分たちで工夫して編集を任せています。
谷氏:現在、名古屋モード学園の学生の方たちには、LE SOUK HOLIDAY、A/C DESIGN BY ALPHA CUBIC(エーシーデザインバイアルファキュービック)を中心にご協力いただいています。学生の皆さんも自分が制作した動画が実際に企業のページで流れるというのはかなり刺激的なことのようです。
伊藤氏:撮影はファッション学科の学生の方たちを中心に、スタイリスト学科、メイク学科の方たちにもサポートいただいています。コーディネートごとに担当するグループが決まっていて、編集まで行ってもらいます。一度の撮影はおよそ半日がかりで、16パターンものコーディネートを撮影いただいています。
―今後、Fireworkをどのように活用していきますか?
谷氏:現在準備しているものはオンライン上の1on1接客などです。Fireworkで開発中の新機能も、相性のよさそうなブランドを見つけてどんどん導入していきたいと考えています。新機能についてもFireworkの担当者から随時ご紹介いただけるので、非常にありがたいです。
伊藤氏:現在、私は5つのブランドを担当しており、そのうち2つのブランドでしか商品紹介動画をアップできていないので、ブランドの拡大と、ライブ配信をやっていきたいと考えています。名古屋にも紹介したいブランドがありますので、出演者の確保など課題はありますが、とにかくライブ配信で紹介していきたいですね。
谷氏:また、クロスプラスではアパレル以外にもライフスタイル商品の拡充を進めており、そのなかでもビューティカテゴリー、コスメなど美容商品のビジネスを拡大する予定です。コスメの新ブランドでは期間限定のポップアップストアも予定しているので、ポップアップストアからライブ配信を行うことで、来店するのが難しいお客様にもブランドの熱量をお伝えできるようにしたいです。
Fireworkが備える動画プラットフォームのノウハウを吸収しながら、今後も動画コンテンツを拡充させていきたいですね。