1999年にスタートした麻布テーラーは、国内直営工場で仕立てるパーソナルオーダースーツを44,000円から提案し、頑張るビジネスマンやプロフェッショナルから多くの支持を集めているブランド。現在では全国26店舗を展開し、長年培ってきたブランドイメージを大切に守りながら、さらなる発展に向けて邁進しています。Fireworkの導入を推進したのは、麻布テーラーを運営するメルボメンズウェアー株式会社 デジタル戦略部長の関 昌稔 氏。麻布テーラーのデジタル戦略全般を担う関 氏(写真右)と、ライブ配信、動画制作など運用全般を担当されている同社 販売促進部プレスルームマネージャーの篠塚 剛 氏(写真左)に、Fireworkを導入した経緯や、実際に運用してみて得た新たな気づきについて伺いました。
ブランディングを守りつつオーダースーツに感じるハードルを払拭するという課題

―麻布テーラーが抱えていた課題とは。
篠塚氏:麻布テーラーは ”Cool,Cozy,Classic”という3つのキーワードを軸にしているブランドで、意味としては「かっこいい」「温かみのある」「伝統的」など、知的でありながら個性も感じられる、お客様一人一人にお気に入りの1着をご提案することを大切にしています。
また、オーダースーツブランドでは珍しく、海外で開催されるファッション展示会やコレクションにまで足を運び、キャッチしたトレンドをオリジナル企画や販売スタッフの知識として落とし込んでいます。
SNSを中心としたデジタル訴求はどの業界でも一般的になりつつあり、私たちもInstagramやFacebookなどの運用はしていましたが、オーダースーツという特性上、店舗販売が中心なこともあり、デジタル上でブランディングを維持向上しつつ、訴求するということまでは設計できていませんでした。
―Firework導入の経緯は。
関氏:「カスタマイズ」や「オリジナル」で自分だけの個性あるファッションを表現することは今の時代と合っているはずなのですが、オーダースーツに対するハードルを払拭することが難しいと感じていました。高級感やハイクオリティなイメージを保ちながら麻布テーラーの魅力を伝える上で、静止画の限界を感じていました。そんな時、Fireworkのソリューションを知る機会があり、動画による訴求ならいけるのでは、とピンと来たのです。
とはいえ、新しいツールを導入するには、その機能の良さだけではなく、実際に運用がスムーズに行えて、数値結果をもとにPDCAを回せるかということが大切です。動画コンテンツのツールはいくつか比較しましたが、Fireworkは運用のしやすさに加え、ショート動画やライブ配信からの導線設計が手軽に構築でき、柔軟に対応できそうな点に魅力を感じたので、2023年1月から運用を始めました。
―運用開始してからの取り組みは。
篠塚氏:もともとオリジナル企画商品などの素材は豊富に所有していたので、Fireworkの動画編集機能でそれらの静止画を組み合わせてショート動画を作成し、MD(商品企画)に合わせて不定期に配信。また、月に2回を目標にライブ配信を実施しています。ライブ配信の集客は、WEBサイトやSNSでの告知と、LINE公式アカウントでの告知で行っています。
商品軸でなくスタッフ軸でのブランディングという気づき

メルボメンズウェアー株式会社 デジタル戦略部長 関昌稔 氏
―現時点で感じている手ごたえは。
関氏:導入後にブランドサイトのリニューアルなどもあったため、複合的な要因はありますが、公式サイトの滞在率が全体で10%ほど伸びていることに加え、ライブ視聴者の滞在時間は全体比1.5倍ほど高いこともあり、ポジティブに捉えています。
また動画訴求を実施したことで大きな気づきを得ることができました。もともとは動画を導入するにあたり、商品MD軸に沿った情報展開を考えていたのですが、実際にやってみると、出演する店舗スタッフに対してお客様が積極的に動画やInstagramにコメントをくれたり、来店されたときに感想をくれたりなど、「お客様はスタッフについている」ということを再認識しました。商品軸よりも、お客様がそれぞれのスタッフや、その人となりに触れることで、より麻布テーラーを身近に捉えていただけるブランディングの機会をもたらすことがわかりました。

メルボメンズウェアー株式会社販売促進部プレスルームマネージャー 篠塚剛 氏
篠塚氏:麻布テーラーの魅力を語るうちの一つに「スーツに纏わる知識やトレンドにも精通するプロフェッショナルなスタッフ」という側面があります。店舗スタッフを動画でクローズアップすることで、静止画のスタッフスナップでは伝えきれなかった個性や専門性、さらには人間的な魅力なども併せてお伝えすることができ、より幅広いお客様に訴求を広げていける手ごたえを感じています。
関氏:歴史あるブランドである麻布テーラーは、自社のブランディングを社内一丸となって大切に守ってきています。ライブ配信などを積極的に導入することで、それを壊してしまうのではないか? 社内はどう思うか?という不安を抱えながらの挑戦でもありました。でも実際は、社内からもかなり好反応で、スタッフも動画訴求の良さを実感し、盛り上がってきている空気を感じられたのも、うれしい効果でした。
日々のフィードバックと運用しやすさで1年後、2年後を見据える

―短期間で手ごたえを感じられた成功ポイントは。
関氏:導入の決め手ともなった、Fireworkの担当者のみなさんのサポート体制です。実施した内容に対するフィードバックがあるほか、企画段階でもアドバイスをいただいています。例えばライブ配信の際に「LINE公式アカウントでのライブ配信告知は当日にもう1回配信したほうが良い」など細かいことまで。また、ご担当者が展示会まで足を運んでくれたり、オーダー商品を体験いただいたりと、ブランドに対して言葉だけでなく深く理解してくださろうとしている姿勢も心強く感じています。
篠塚氏:ショート動画は素材ありきなので不定期配信ですが、日々の業務に追われると優先順位が下がりがちです。以前YouTubeの配信を自分で編集して行っていたときは、とにかく手間と時間がかかっていました。それがFireworkの動画編集機能を使うことで、静止画を組み合わせたショート動画が5分で作成できます。Fireworkとの定期ミーティングに合わせて動画をあげるリズムができ、また思い立ってパッと動画が作れるので、非常に作業効率もよくなり、運用がスムーズに行えています。ライブ配信自体も、アドバイスをいただいて少人数の自社スタッフで実施できています。
―今後の展望は。
関氏:現在は導入期で手探りの状態ですが、これからも共に並走し、動画を導入したことによる数値の分析や他社様と比較した総合的な評価を出していきたいですね。また、今は店舗でのオーダースーツが中心で、ECでの販売という点は今後力を入れていきますが、ファンの方にもっとブランドと気軽に接点を持ってもらえるように、ネクタイやビジネス小物、シャツなど簡単に買えるレディメイド商品なども本格的に展開できたらと考えており、そこにも動画を使ってうまく導線設計できたらと思っています。